人との距離感が分からなかった私へ:DBT対人関係スキルが導いた新しいつながり
人との距離感がつかめず、人間関係に悩んだ経験はありますでしょうか。私はこれまで、人との関わり方で多くの葛藤を抱えてきました。しかし、DBT(弁証法的行動療法)の対人関係スキルを学ぶことで、その悩みが少しずつ解消され、自分らしい新しいつながりを築けるようになった体験をお話ししたいと思います。
DBTを知ったきっかけと始める前の気持ち
私がDBTを知ったのは、大学生活での人間関係に深く悩んでいた時期でした。友人との間で意見の食い違いが生じると、どうすれば良いのか分からなくなり、自分の意見を言えず我慢してしまうか、逆に感情的になって関係をこじらせてしまうかのどちらかでした。その結果、孤独感を感じたり、友人関係が長続きしなかったりすることに苦しんでいました。
インターネットで何か解決策はないかと探している中で、DBTという言葉に出会いました。特に「対人関係スキル」という言葉が目に留まり、「もしかしたら、私に必要なのはこれかもしれない」と感じました。しかし、本当に効果があるのか、自分にできるのかという不安も大きく、すぐに始める勇気は持てませんでした。それでも、「このままでは何も変わらない」という思いが強く、半信半疑ながらもDBTのプログラムに申し込むことを決意しました。
具体的なDBTの経験:対人関係スキルとの出会い
DBTのセッションが始まり、私は「対人関係スキル(Interpersonal Effectiveness Skills)」について学び始めました。これは、自分の意見を明確に伝えながらも、相手との関係性を良好に保つためのスキルです。正直なところ、最初は「そんな都合の良いこと、本当にできるの?」と思っていました。
特に印象に残っているのは、「効果的な自己主張」を学ぶ時間でした。自分の要求を伝えたり、ノーと断ったりすることが、これまでの私には非常に難しかったからです。例えば、「Describe(状況を説明する)、Express(自分の気持ちを伝える)、Specify(具体的な行動を要求する)、Consequence(もしそれが叶ったらどうなるかを伝える)」というステップを使ってコミュニケーションを練習しました。
初めてこのスキルを実践したときは、とても緊張しました。友人が約束の時間に遅れてきた際、これまでは何も言えなかったのですが、このスキルを使って「〇〇時まで待っていたから、少し不安になったよ。次は時間通りに来てくれると嬉しいな。」と伝えてみました。友人は驚いた様子でしたが、私の気持ちを理解してくれ、謝ってくれました。
また、相手の言うことに対して、自分の意見と異なる場合でも、穏やかに伝える練習もしました。例えば、これまでなら「どうしよう…」と黙り込んでいた場面で、「あなたの意見も理解できるけれど、私はこう考えているんだ。」と、自分の考えを伝えられるようになったのです。最初は声が震えたり、言葉が出てこなかったりすることも多々ありましたが、少しずつ練習を重ねることで、自信を持てるようになっていきました。
体験した変化や効果:新しいつながり
DBTの対人関係スキルを実践し始めてから、私の人間関係には確かな変化が訪れました。まず、自分の意見や感情を適切な形で表現できるようになったことで、無理に我慢することが減り、心が軽くなりました。これにより、ストレスを感じる場面が明らかに減少しました。
また、相手との間に健全な境界線を引けるようになったことも大きな変化です。以前は相手に嫌われることを恐れて何でも受け入れていましたが、今では自分にとって何が大切なのかを考え、ノーと言うべき時にはノーと言えるようになりました。これは決して冷たい関係を築くことではなく、お互いを尊重し合う、より深い関係を築くための第一歩だと感じています。
友人関係も、以前よりも健全で安定したものになりました。感情的にならずに話し合えるようになったことで、誤解が減り、お互いへの理解が深まったのです。孤独感も和らぎ、心から信頼できる友人が増えたと感じています。DBTのスキルは、まるで私に新しいコミュニケーションの地図を与えてくれたようでした。
継続のモチベーションや工夫
対人関係スキルを実践することは、決して簡単なことばかりではありませんでした。時には勇気が出なかったり、言いたいことがうまく伝えられなかったりして、落ち込むこともありました。しかし、DBTのグループセッションで他のメンバーの体験談を聞いたり、セラピストからのフィードバックを受けたりする中で、「完璧でなくても大丈夫」「一歩踏み出すことが大切」ということを学びました。
また、小さな成功体験を日記に記録することも、継続のモチベーションにつながりました。例えば、「今日は初めて自分の意見を言えた」といった小さな達成感を積み重ねることで、「次はもっとできるかもしれない」と前向きな気持ちになれたのです。
まとめ/読者へのメッセージ
DBTの対人関係スキルは、私にとって人間関係を根本から見つめ直し、より豊かなものに変えるための大切なツールとなりました。人との距離感が分からず悩んでいた私が、今では自分を大切にしながら、他者と温かい信頼関係を築けるようになったことは、大きな喜びです。
もし今、人間関係の難しさに直面している方がいらっしゃるとしたら、DBTの対人関係スキルが、新たな視点と実践的な方法を提供してくれるかもしれません。この体験談が、同じように悩む誰かの一歩を後押しできれば幸いです。